ハイにならない、より新しく強力な医療大麻

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最近、ワシントンポスト紙でCBDに関する良記事をみつけたので、その翻訳を紹介したいと思います!

ではどうぞ!


ワシントン・ポスト

A powerful new form of medical marijuana, without the high

ハイにならない、より新しく強力な医療大麻

20161231日付 ワシントン・ポスト紙 

ジャクソン・ライデン君はいつも元気いっぱいな子で、テコンドー道場に通ったり、ラクロスや野球をしたりするのが大好きだった。しかし2011年、8歳の誕生日から数ヶ月後、突如1日に数回の発作を起こすようになった。当初の発作は短く、30秒ほどじっと目線を動かさず固まってしまう程度だったが、酷くなると卒倒してしまい、それによって怪我を負うこともあった。ジャクソン君はその後の2年間で約50回病院に運び込まれるようになり、4~5年生の授業の大部分を欠席せざるを得なくなる。

ジャクソン君の両親は彼をアメリカ全土の20人以上の医師に診せ、十数種以上の薬を試したが、そのどれにも効果はみられなかった。 2年前、ライデン家は成す術なく追いつめられ、最終的に大麻が効くかどうかを試してみることにした(医療用大麻の利用は、彼らが住んでいる地区では合法であり、ライデン家は理解のある医者を見つけることができた)。2014年、ジャクソン君は初めての大麻投薬を受ける。

「数日以内に、発作はほとんど見られなくなりました」と母親のリサは語る。 「それは衝撃的でした。」数ヶ月後、彼は他の薬を服用をしなくてもよいまでになった。

この薬は、彼をハイにすることなく効果を発揮した。 ジャクソン君が取っている薬とは、大麻の2つの主要成分の一つである、CBD(カンナビジオール)を高い濃度で含むものだ。大麻の主要成分の内でも最も豊富なTHC(テトラヒドロカンナビノール)は精神変容性で有名だが、CBDにはそうした作用がない。

研究者らは、THCには疼痛、吐き気、食欲不振および他の症状の治療に役立つことを発見していたものの、従来CBDはヒトにおいて生物学的に不活性であるとみなされていた。 しかし、過去10年間の研究により、科学者らはCBDが非常に有用であると結論付けたのだ。 数多くの研究は、CBD成分が不安障害、統合失調症、心臓病および癌を含む、広範囲の疾患と同様、てんかんにも効果がある根拠を発見した。

CBDオイルの投与
CBDオイルの投与を受けるライデン君

今や13歳となったジャクソン君(依然としてその病名は不明のまま)は、この薬の使用を毎日続けている(多くの患者のように、それを液体で摂取することにより、正確な投薬量と同時に、肺への負担も回避できる)。彼には依然として発作が出るものの、この薬の投薬を受ける前のような月200回もの発作ではなくなり、1~2週間に1回程度だ。 彼は他の子供たちと同じように学校に通えるようになり、家族と一緒にハイキングに行ったり、自転車に乗ったりすることもできるようになった。

アメリカ全土では、数千人が高濃度のCBD大麻を使用している。

「これは本当に強力な化学成分です。」とジョージワシントン大学総合医学センターのメディカルディレクター、ミカイル・コーガン氏は語る。同氏はてんかん、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不安障害、自己免疫疾患、自閉症および不眠症のような症状に対し、高濃度CBD品種の医療大麻を定期的に処方している。

 

「医療革命」

CBDとTHCの含有量は、一般的に反比例する関係だ。THCが多くなるほど、CBDは少なくなり、その逆も同様である。近年、栽培者は高濃度のCBDを含む大麻の品種改良に一部成功している。いくつかの意見では、双方の化学成分が相乗的に作用し、多くの病気においてはCBDとTHCを組み合わせることが最良であるとされている。

CBDを特に魅力的にするのは、使用者をハイにしないことだ。ほとんどのマリファナ愛好家たちはこのハイになる効果を望んではいるものの、病気の治療薬としてそれを使う多くの患者たちは、むしろその効果を避けたいと願っている。そしてCBDは、使用者をハイにしないという特質から、医療大麻の普及を妨げる政治的、法的、医学的懸念の多くを払拭することに成功した。

「CBDは医療大麻における革命です。」と主張するのは、CBDの使用促進に努めるカリフォルニア北部のNPOであるProject CBDのディレクター、マーティン・リー氏である。「その安全性と精神作用の欠如は、CBDが違法であるべきとの主張を覆します。 それは、この問題に対する国民の意識をすっかり変えてしまったのです。」

メリーランド州ベセスダの国立衛生研究所の薬理学者で、心臓病学者でもあるパル・ペイチャー氏によると、より多くの科学者がCBDの可能性を認識するにつれ、爆発的に研究量が増えてきたという。彼は10年以上にわたってCBDを研究し、その研究はCBDが心臓病と糖尿病の両方に利益をもたらす可能性を示している。

CBD研究の重要な分野の1つはてんかんだ。複数の科学者らは、特に通常の治療法では効果の無かった患者の発作を減らす可能性に焦点を当てている。重度の小児てんかんに対するCBDの効果を研究するニューヨーク大学の神経学者オーリン・デビンスキー氏は、「我々はCBDに有意な効果を発見しました」という。

調査結果がまだ公表されていない研究において、彼と同僚のダニエル・フリードマン氏は、通常の薬物療法に加えてCBDの投与を受けている患者は、通常の薬物療法のみを受けている患者よりもけいれんの発作が39%少ないことを発見した。この研究には、最も難治性を見せる患者しか含まれていないことを考えると、「これは非常に優れた反応です」とデビンスキー氏は述べる。

CBDが本当に機能するのか、またどのような症状に対して効果的なのかを確かめるためにはより多くの研究が必要であるとデビンスキー氏は述べるものの、もし効果があるのならば、重症患者やその両親がそうしたデータが出揃うまで待てないのは理解できるとする。「他の薬に効果がない場合、 これを試してみるのも妥当でしょう」

CBDはまた、不安障害、うつ病および統合失調症の治療においても有効であることが示されている。この研究の大部分はラットおよびマウスで行われてきたが、ヒトにも利益をもたらしている研究結果もある。例えばドイツの研究者は、統合失調症患者にCBDを与えることにより、幻覚および思考障害といった精神病の症状が軽減されたことを2012年に発表している。

CBDは抗癌特性も有するようである。サンフランシスコのカリフォルニア・パシフィック・メディカル・センター研究所では、研究者のショーン・マカリンスターとピエール・デスプレズは、CBDが癌細胞の転移をブロックできることを発見している。

CBDの仕組みは完全に解明された訳ではない。それはCBDが、 幅広い効果の主要因である複合的生化学的経路を刺激するというのが原因の一つだ。CBDは強力な抗炎症および抗酸化作用を持ち、神経伝達物質のセロトニンならびに痛みおよび不安を軽減する別の分子であるアナンダミドのレベルも上昇させる。

ブラジル・サンパウロ大学の薬理学者、フランシスコ・ギマランイスは、CBDが脳内、特にうつ病および不安障害において重要な役割を果たす部位である海馬で新しいニューロンの成長が促進されることを発見した。

「CBDは薬理学者にとってのディズニーランドです」と彼は言う。 「可能性のあるメカニズムがたくさんあるため、非常に多くの有用な効果が考え得ます。」

しかし、CBDの研究は容易ではない。科学者らは、法律や規制が研究に過度の制約を課していると不満を抱いている。 CBD(CBD分子そのもの、そしてCBDが豊富な大麻品種の双方)は、米国政府によってスケジュール1の薬物に分類されているのだ。スケジュール1は、通常「乱用の可能性が高く、医療上許容されない薬物」として分類されるものだ。

そのリストには、マリファナとヘロインが含まれている(マリファナの研究は米国政府によって管理されているものの、マリファナの使用については州法によって部分的な規制となっている)。その結果、CBDを研究する科学者は厳しい規制を遵守しなければならない。昨年、複数の州知事によるマリファナの指定の除外要請にも関わらず、アメリカ麻薬取締局は、すべての大麻がスケジュール1の薬物のままであると発表した。

 

依然としてスケジュール1

それを「恣意的ですし、ばかげています」と語るデビンスキー氏によると、彼はてんかん研究のための政府承認を得るまでに、数十時間もの申請時間を費やしたという。CBDを研究するほとんどの科学者と同様、彼はほぼ純粋なCBDを使用している。それには精神作用が皆無であるにも関わらず、警報システムのついた厳重な保管庫に保存しなければならない制約が伴っている。

研究が進むにつれ、何千人もの人々がCBDを薬として使用している。イギリスの製薬会社であるGWファーマは、CBDとTHCを1対1の比率で含むSativexと、純粋なCBDからなるEpidiolexの2種類のCBD薬を開発している。前者は多発性硬化症で起こる痛みを伴う筋肉痙攣のため​​に処方され、後者は小児発作用だ。 Sativexは米国では入手でないものの、カナダ、イギリス、イスラエルなど29カ国で承認されている。

Epidiolexはまだ世界各国で販売されておらず、GWファーマは来年、米国食品医薬品局(FDA)の承認プロセスを開始する予定だと述べている。

現在、何千人ものアメリカ人が、CBDの含有量が豊富な品種の大麻を使用している。それら使用者と医療大麻薬局は、CBDに対する認識が高まるにつれて、需要の増加も見込んでいる。

夫のジェフリーと共に、ワシントン州北西部で医療大麻薬局タコマ・ウェルネス・センターを運営するステファニー・カーンは、1200人の顧客のうちおよそ半数がCBD製品を使用していると述べている。大麻薬局では高濃度CBD大麻を数品種、またCBDオイルを提供しており、CBDオイルに関しては特定の症状に対して有効なさまざまなCBDとTHCの割合のものを揃えている。「毎日たくさんの質問を受けます」とステファニーは言う。「たくさんの患者さんがこの製品による緩和を感じていますし、多くの場合は通常の医薬品よりも効いているのですから」

 

保険の適用外

治療費はバラバラだ。大麻薬局や投与する量によっては、月約100ドルから1,000ドルを超える場合もある。保険が適用されないもかかわらず、CBD医薬品は、重度の難治性てんかんを持つ子どもたちに対する治療法として多大な関心を呼び起こしている。全米で最初に医療大麻を合法化した州であるカリフォルニア州とコロラド州は、そのような患者たちが集う人気の地となっており、他の州で薬用CBDの使用が合法化されるよりも前に、これらの州に移住した家族はCBDの恩恵を受けることができている。

この分野で最も経験豊富な開業医の1人は、難治性てんかんを持つ数十人の子供への治療にCBDを投与したことで知られる、ロサンゼルスの医師ボニー・ゴールドスタインだ。「これらの患者の約半数で、発作の数が大幅に減少しています。」「適切な患者に適切な方法で使用するのであれば、CBDは極めて強力です」と彼女は言う。

現状では治療法が体系化されておらず、多くの製品が標準化や検査もされていない上、患者(またはその両親)は基本的に自己裁量で投与する量を決定している。一部の供給元や大麻薬局では、CBD・THC製品の品質検査を行っているものの、多くはそうしない。 「より多くの研究や証拠が必要です」とコーガン氏は言う。 「これは科学的に行われなければなりません。」

ジャクソン君の母親リサ・ライデンにとって、これらの問題はCBDの大いなる可能性を否定するものではない。 「これが万能薬ではないことは分かっています」と彼女は言う。 「私たちは絶対にもっと知る必要がある。でも、その間にも多くの人が助けを必要としています。そうした人々にCBDが効果を発揮しているのですから。」

CBDオイル薬品

出典:ワシントン・ポスト電子版

画像元:Anchorage Daily News

 

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